生産者のおはなし&素材の魅力

山陰の自然とモーツァルトの音色が育む極上イチゴ

SPEAKER→のつ農園

2023年02月22日

松江市福富町で生産される「のつ農園」の真っ赤な完熟イチゴは、大粒でジューシー、甘味と酸味が絶妙なバランス。中でも特に大きく美しい果肉を持ったイチゴは「福富アダージョベリー」としてブランド化され、県内外で高く評価されています。丹精込めてイチゴを育てる野津喜洋さんに、生産者の思いを聞きました。

のつ農園

丹精込めた自信作のイチゴを
一人でも多くの人に味わってほしい

のつ農園がある松江市福富町は、山と川に挟まれた自然豊かな立地にあり、10年に一度行われる日本三大船神事「ホーランエンヤ」の五大地のひとつとしても有名です。野津家は江戸時代から代々この地でコメを中心に農業を営み、先代、先々代は兼業農家として家業を継いできました。イチゴの専業農家になったのは、2010年のこと。東京農業大学時代、園芸を専門に学び、全国の大規模農家を見学するなどして農業の可能性を感じたことがきっかけでした。農園がある場所は、清らかな湧き水にも恵まれ、栽培では有機肥料を使うなど安心・安全でおいしいイチゴづくりにこだわっています。中でも特徴的なのが就農当初から導入している音響栽培。ビニールハウスの中でモーツァルトの音楽を聞かせてイチゴ(紅ほっぺ)を育成し、真っ赤に熟した一番おいしいタイミングで収穫しています。イチゴ栽培は育苗に1年、苗を植えてからも手間がかかりますし、実がつき始めると中腰で一気に収穫しなければならず、大変な作業です。でも、手塩にかけたイチゴを食べて、おいしいと笑顔になってもらえることが何よりの喜びになっています。

のつ農園

福富アダージョベリー

のつ農園の最高傑作
味も形も芸術作品のような大粒イチゴ

秋から冬にかけて、ハウス栽培のイチゴは収穫の最盛期を迎えます。この時期、のつ農園のハウスの中は、甘酸っぱい香りに満ち、大粒のイチゴがたわわに実をつけています。その中でも味、香り、見た目、大きさ、すべてを選りすぐった最高品質のイチゴが「福富アダージョベリー」です。大きさは人の手のひらサイズほどあり、手に持つとまるで吸い付くような不思議な感触があります。イチゴのおいしさは実は甘さだけで評価されるものではありません。甘味、酸味、旨味のバランスが重要であり、「福富アダージョベリー」はその点も高く評価されています。味の良さや粒の大きさには、さまざまな要素が関係していますが、まず一つが土づくり。粘りのある土や、米ぬかなどを混ぜ合わせたミネラル豊富な有機肥料を使うことで、イチゴがしっかりと根を張ることができ、たっぷり栄養を取り入れることができるのです。また、クモやアブラムシなどの益虫の力も借りて、化学肥料や化学農薬には極力頼らない、人や環境にやさしい安心・安全な栽培を追求しています。

福富アダージョベリー

イチゴ栽培では日当たりが大事ともいわれますが、農園で栽培している紅ほっぺはそれほど太陽の光を必要としない品種です。むしろ冬場の収穫時期は、ゆっくりとやさしい日差しを浴びることで甘味が凝縮されるので、日照時間が短く曇り空が多い山陰の冬は条件にぴったり。山陰のやさしい日差しが、味の良さに一役買っているというわけです。ハウス内の温度や湿度、CO2濃度などは随時スマートデバイスで確認でき、さらに実際に自分の目で見て、触って感じる情報とも合わせて、管理に役立てています。イチゴに与える水は、江戸時代に松江市街の酒蔵がわざわざ汲みに来ていたという地元の名水を直接採水して利用。この水のおかげで、爽やかな甘味が生まれます。こうした自然の恵みと、モーツァルトの音楽、そして日ごろの小まめな管理の中で育ったイチゴは、一種の芸術作品。県外に流通させようと思うと、完全に熟す前に収穫する必要がありますが、のつ農園では、真っ赤に熟した一番おいしいタイミングで収穫しているので、県外では滅多にお目にかかれません。安心・安全でおいしい松江ならではの極上イチゴを、ぜひ一度、口いっぱいに頬張ってください。

のつ農園

松江市福富町78

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