生産者のおはなし&素材の魅力

秘伝のタレが香ばしい名店のうなぎ料理

SPEAKER→うなぎ処 山美世

2023年02月22日

島根半島と、鳥取県の弓ヶ浜半島に囲まれた中海に浮かぶ大根島。松江市街地から車で30分ほどのこの小さな島に、うなぎ料理の名店「山美世」はあります。秘伝のタレで香ばしく焼き上げた肉厚のうなぎは、ボリューム満点で一度食べたら忘れられない味。通販事業にも力を入れる6代目社長の渡部卓さんに、老舗のこだわりや新たな挑戦を伺いました。

うなぎ処 山美世

小さな火山島で100年以上愛される
うなぎ料理の名店

大根島は、約20万年前の噴火活動によって誕生した火山島です。「山美世」は、鳥取県とつながる江島大橋、通称“ベタ踏み坂”のたもとにあり、大正3年(1913)に創業しました。もともとは大根島内の寺津港の向かいで旅館業を営んでおり、渡船客に中海産天然うなぎの蒲焼をのせたうなぎ丼を提供したのが始まりと言われています。2018年に現在の場所に移転し、東にベタ踏み坂、西に中海、南に大山、北に島根半島を望む絶好のロケーションも新店舗の自慢です。創業以来、代々受け継ぐ秘伝のタレは、改良に改良を重ねて現在の味にたどり着きました。関西風に蒸さずに焼き上げるので、タレの香ばしさや脂ののったうなぎの旨味が一層際立つ味わいです。御前や丼、一品料理など、豊富なメニューはうなぎ料理専門店ならでは。近年は全国に山美世のうなぎを知ってもらいたいと通販事業も展開し、地元企業と協力して商品開発に取り組んでいます。蒲焼やう巻きなどの定番から、ライスバーガー、内臓や肝の煮つけの瓶詰、半助(うなぎの頭部)の甘露煮など、大切なうなぎを余すことなく利用し、ご自宅やギフトでも、山美世の味をお楽しみいただけます。

うなぎ処 山美世

うなぎ

一度食べたら忘れられない
肉厚の国産活うなぎ

うなぎ料理で使われる一般的なうなぎのサイズは1本120g程度ですが、山美世では基本的に220g程度と、2倍近いサイズのうなぎを使用しています。うなぎの主要産地では、このサイズまで育つ前に出荷することが一般的なため、山美世では鹿児島や愛知、徳島など、日本各地から厳選した活うなぎを仕入れています。大きなうなぎは脂のりが良く、肉厚でふっくらとした食感が魅力。丸々としたうなぎを使用することは、創業当時からのこだわりです。また、うなぎは生育環境によって味や食感が異なるため、産地によるおいしさの違いを味わうこともお客様の楽しみです。仕入れたうなぎは、生きた状態のまま大根島の地下水を使った生け簀の中へ放たれます。火山島である大根島の地下水は、清らかでミネラルなどの栄養がたっぷり。この中で数日間泳がせることで、体内の余分な脂や人工飼料の風味を排出し、よりおいしいうなぎに仕上がるというわけです。

うなぎ

うなぎの調理は「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」とも言われますが、「裂き」での素早く丁寧な下処理があってこそ、おいしい焼き上がりにつながります。うなぎは生命力が強く、ヌメリがあり骨も固いので、特にサイズが大きくなると力も必要。山美世のうなぎ包丁は、通常より小ぶりながら、より力が伝わりやすいナタのような形をしており、職人たちが一尾ずつ丁寧に捌いています。うなぎ料理の要であるタレは、創業以来、改良を重ねて現在の味に到達しました。甘辛いタレのベースは、安来市の醤油蔵「大正屋醤油」の甘露醤油。トロリと煮詰めたタレは、衛生面と酸化予防に優れたパッケージに密封し、同じものを通販の商品にも使用しています。うなぎの蒲焼は、蒸してから焼く関東風と、蒸さずに焼く関西風に分かれますが、山美世はうなぎの旨味をより感じられる関西風。肉厚のうなぎは、まるでステーキのようなボリューム感があり、香ばしいタレが食欲をそそります。名物の鰻重(特重)は、お重からうなぎがあふれんばかりに敷き詰められ、味だけでなく見た目も豪華。「一度食べたら忘れられない味」と多くの人に愛されるうなぎ料理を、ぜひ味わってください。

うなぎ処 山美世

松江市八束郡江島1128-10

0852-76-3198

WEBサイトへ

他のSTORYを見る

すべて見る